CoffeeLake設計(第8世代Coreプロセッサ)のミドルレンジ・デスクトップ
DELL XPS タワー(8930)の内部構造
Core i7-8700搭載のCoffeeLake設計XPSタワーこと、XPS 8930をレビューしている。ここではXPS 8930の内部構造を紹介する。コンパクトなミニタワーのため、わりと密集した内部だが、HDDドライブベイを3基、M.2スロット1基を実装しておりストレージの拡張性は高い。メモリスロットも4基あり、ミドルレンジとしては及第点。Micro-ATXマザーボードやATX電源規格を採用しているため、自作のベアボーンPCみたいな感覚だ。サイドパネルの開放、グラフィックカード装着、メインのHDDベイでは工具レスでメンテンナンスが行える。
2018年3月論評 CoffeeLake |
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※2018年3月25日時点のレビュー。手元の実機レポートであり、仕様は時期や選択により異なる。
工具いらずで、サイドパネルを外す
セキュリティロック・スロットの付いた「サイドパネル・リリースラッチ」を引くと、ロックが外れ左側面パネルが外れる。
サイドパネルは外装部がポリカーボネート(工業プラスチック)で、内側はスチール製となっている。スチール側の通気口は2箇所空けられている。
サイドパネルを外した様子。3基のHDDベイをいじるだけなら、この状態で構わない。右上のHDDベイなら工具レスで取り扱える。ATX電源ユニットが縦置きに搭載されているのが特徴的で、エアーフローをPC内部とは別に独立したスタイルをとっているのが面白い。PC内部の熱気を吸気せず、ダイレクトに外気から取り入れ、そのまま後方へ排気している。
スイングアームの可動
さらにマザーボードへアクセスするには、ATX電源ユニットを載せたスイングアームを右方向に回転させる。背面のリリースラッチ2つを上げてロック解除すれば、スイングアームを動かせる。
このように電源ユニットを特異なギミックで搭載することにより、従来のミニタワー型よりもコンパクトな筐体となっている。むろん、光学ドライブをスリム型にしたことも一躍ある。わりと密集した状態なので、大型のCPUファンに換装するといったスペースのゆとりはない。
460WのATX電源ユニット
自作と同様、ATX電源ユニットを搭載しているので、市販品との換装が可能なのはありがたい。既存では奥行き140mmの電源ユニットが搭載されている。換装はサポート外だが、ケーブルの干渉に問題がなければ奥行き180mmまで搭載できそうだ。大型ならプラグイン式がよさそう。
インチネジを外して電源ユニットを引きずり出すと、スペック表が確認できる。460W電源で+12V系統は3つ。それぞれ最大18A(216W)、16A(192W)、8A(96W)である。+12V系統の合計最大許容は385W。ちなみに、このXPS 8930レビュー実機ではデルタ・エレクトロニクス社製だった。80Plus認証ではないようだ。
3基のHDDベイ
前方の3.5インチHDDベイ。水色のスライドマウンタにより、工具レスで着脱できる構造。レビュー機ではデータ用の3.5インチHDDとしてシーゲート製ST2000DM001を搭載している。パフォーマンスは上記の通り。
底部にHDDベイを2基実装しており、下のビス止めを外せばスチールのマウンタが取り外せる。先程のHDDベイと違い、工具やネジが必要だし手間がかかるが、頻繁にいじるものではないので許容範囲だろう。
上から見るとM3ネジの穴も設けてあり、2.5インチのHDDやSSDも取り付けられる構造。
上面排気ファンと光学ドライブ
上面(天井面)に排気ファンが搭載されている。筐体はもともと12センチ角ファンを搭載するデザインだが、XPS 8930ではスペシャルエディションとの格差をつけるためか、9センチ角ファンにスペックダウン。取り付け部分のスチールもそれに合わせており、ちょっと意地悪な印象を受けた。回転数が多くなる分、XPS 8930のほうがやや騒音が目立つ。
取り付け部分のスチールはネジ止めがあり、取って付けたような構造(取り付け用マウンタのようなものを使っている)。ちょっとした工作ができるなら改造して12センチ角ファンにしてやれなくもないが面倒くさいな。
排気ファンの先にはスリム型光学ドライブの搭載がみえる。
グラフィックカード(NVIDIA GeForce GTX1060)の搭載
レビュー実機では、NVIDIA GeForce GTX1060を搭載しており補助電源を接続。なお、このATX電源ではPCI Express電源コネクタに、6pin、「6pin+2pin」を持つ。
グラフィックカードを搭載するスペースはわりと広く、トータルで30cm以内に収まれば搭載できる。
GeForce GTX1060の様子。スチールのボディにすっぽり収まっている。
XPS 8930のマザーボード
ネジ位置から判断して、Micro-ATXのマザーボードを搭載。コンデンサの数は多くないが、ほどほどに高耐久性の固体コンデンサを使用しており、日本ケミコン製のコンデンサなどが確認できる。
VRMの装置数は6フェーズ。ローエンドPCでは4フェーズとかなので、ハイエンドPCとまではいかないまずまずの構成か。
拡張スロットは、上からPCI Express×16、×1、×1、×4。グラフィックカードを搭載するPCI Express×16ではストッパー付き。この構成のように2スロット分占有するグラフィックカードを搭載すると、x1のスロットが1基使えなくなる。
このXPS 8930レビュー実機ではシステム用にM.2 SSDを搭載している。サイズはType2280であるが、XPS 8930のマザーボードではType2280、Type2260、Type2242が取り付けられるように各ネジ位置がある。
レビューしているXPS 8930では、NVMe SSD(東芝製KXG50ZNV256G)が採用されており、パフォーマンスは上記の通り。PCI Express接続のNVMe SSDは圧倒的に速い。なお、DELLサイトではM.2 SSDとしか書いていないので、SATAなのかPCI Expressなのかよくわからない。とりあえずレビュー機ではNVMe SSDであるが、それが標準なのかここでは断言できない。マニュアル書には「SSD(SATA または PCIe/NVMe)用 M.2」とあり、まったく困ったものだ。
【 過去PCと比較 : SSD / HDD 各規格・接続による、ストレージ・パフォーマンス 】
なぜか、Killerネットワーク
無線LANカードの搭載。デバイスマネージャーを見ると、ネットワークコントローラーにKillerネットワークを搭載している。しかしDELLサイトのXPS 8930ページでは一切触れられていない。スペシャルエディションのページではKillerの搭載は「GeForce GTX 1070、GTX 1080搭載モデルのみ」とある。しかし、対象外のはずのXPS 8930に、しかもGeForce GTX 1060の搭載である。う~む・・・、レビュー実機のありのままを紹介しているが、Killerネットワークの搭載に関してはちょっと意味不明である。
もう一方でレビューした、XPS 8930スペシャルエディションではKiller搭載対象構成だが、そちらは無線LANもKillerであった。このXPS 8930ではギガビットイーサー(有線)のほうなので、搭載か否かは無線LANのことを言っているのだろうか?
ちなみにKillerネットワークではアプリを使えばネットワーク接続をモニタリングでき、とくにオンラインゲームのパフォーマンスを最大化することができる。また、KillerはWindowsが抱えるネットワーク処理の一部を肩代わりする機能を持つ。優先度の設定に基づいてネットワーク帯域幅を最適化、管理する。CPU負荷を低減させ、ネットワークの遅延を抑えるため、とくにオンラインゲームでは安定した通信が確保できる。※Killer開発元のクアルコム・アセロス社は、アメリカの半導体メーカーでLAN関連製品のトップシェアを誇っている。
詳しくはDELLサイトへ
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XPS タワー(XPS 8930)の、レビュー項目
- XPS 8930のレビュー 構成:Core i7-8700 + GeForce GTX 1060 ※2018年3月
- XPS 8930の内部構造 ※2018年3月
- 第2弾(CoffeeLake Refresh互換) 構成:Core i7-9700 + GeForce GTX 1660 Ti ※2019年8月
強化版!XPS タワー・スペシャルエディション(XPS 8930)
- XPS 8930 スペシャルエディション 構成:Core i7-8700 + GeForce GTX 1070 ※2018年3月
- 第2弾 構成 : Core i7-8700K + GeForce GTX 1080 ※2018年6月
- 第3弾(CoffeeLake Refresh互換) 構成:Core i7-9700 + GeForce RTX 2060 ※2019年8月
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